田宮病院 認知症療養病棟 第9病棟「リ・ラク・ナス棟」
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第9病棟は、『リ・ラク・ナス棟』と命名されました。
老人性痴呆症の方々の歩んで来られた年月に敬意を表し、意識すればする程、“老人の居場所とは?’’と考えさせられるものなのでしょう。その方々の中でも、各々の空間認識の能力には差があり、空間の認識度を数値化するには自信を持てないことをお許しいただかなければなりません。
共通するのは、“誰もが、いつか通る道なのだ”ということです・・・。「老人性痴呆症の方々の居場所」は、間接的な言い回しかも知れませんが、「ナースの方々の居場所として活性化」されれば成功!、といった所に的を絞りこむことにしました。
改めて、看護されるナース(スタッフ全員)の方々の重労働こそ、言葉を越えた本当の敬老心をおぼえるものであります。
ナース(スタッフ)の皆様に感謝を込めて!!
頑張れナース!!
応援歌は、リラックス ナース!!
リ・ラク・ナス !!・・・と。
病棟全体は「hospidence棟」に引き続き、廊下は道であり、丸柱は樹に、病室は各住宅、中庭はパーゴラのかかった都会のカフェテリア、多忙な一日のホッと一息をつける屋外テラスでもあります。
夜のしじまにおしゃれな行灯(あんどん)は星たちのおやすみのあいさつ。ナースの人達に、新しい力を再び呼び起こす居場所でもあります。お疲れ様 …リラックス!!
病院の歴史は、囚院、僧院、病院だと言われております。これからは、病院から健院へとも言われております。
暗い片隅からど真ん中へ、終着駅から再出発へ。
‘リ’は、re、再
‘ラク’は、楽しみ
‘ナス’は、人生を成就する
というキーワードでもあります。老人の方々が、再び楽しみを得て人生を成す。そんな空間でもあり、“「再・楽・成」の樹”は病棟のシンボルでもあります。
内と外の相互貫入をベースに
点VS線vS面
平面とr面
木とコンクリート
透過と不透過
様々な要素でコントラストを追求する。
デイルームとつながるテラス
RCに木のパーゴラはRC空間を和らげてくれます。
RCの丸柱は樹であり、シンボルとなる「リ・ラク・ナス」の樹はライトで枝をはる。
廊下のアルコーブに設置された2本の丸柱は、川に打たれたクイのように淀みをつくってくれます。街路が灯におけさ笠をかぶせてみました。
とかく閉鎖的になりがちな廊下…
Rの光天井と木のルーバーライトで軽快 感を演出してみました。
廊下は道路であり、各病室を家々に見立ててみました。鉄板のスッキリ庇や木のボテ庇で、街並みに変化と楽しさを再現します。
デイルームA
3つのうちの最も大きなAデイルームは、テラスとつながってより広さを確保しております。
デイルームB
R天井と間接照明でやわらかさを演出。
デイルームC
廊下のアルコーブに設けられたデイルームCは、腰掛けタタミで変身。
個室郡中廊下
ブルービームは、トップライトから降り注ぐ光で、室内に取り入れた空を演出。深い海のようでもあります。
洗面・手洗いを設けられた各個室も間接照明。
材質は珪藻土(土壁)、和紙、ムクの木、コルクタイルといった自然素材で老人を包んでくれます。
個室の庇は、ペアでデザイン。
レッドとイエローの病室戸でエキセントリックに。
<照明計画>
照明計画は、閉鎖性をおびた病棟に様々なバリエーションで室内を華どってくれます。
パーゴラと対をなすブラケット。
「テラス行灯」
こうぞに木と和紙でつくられたデイライトはナースたちのカフェテラスに華を添えてくれます。
「おけさ行灯」
あずまやで屋外空間の演出。
かざぐるまをモチーフにデザインされたペンダント。