【築縁様インタビュー】白いハコの家
2024.11.13
くらし・たずねて
「完成がはじまりです」
いつも、そんな気持ちでお引き渡しをしています。
家具が入り、家族が過ごし、日々を重ねる中で、その家らしい空気が生まれていく―。
家族とともに育ち、独自の色を深めた「数年後の住まい」を訪ねました。
緑とともに、暮らす
【DATA】
長岡市M様邸/2019年入居/夫婦/新築
公園に面した分譲地の一角。道路に立つと、緑に覆われるかの佇まいに目を引かれる。
木々や草花が折々の表情を見せ、白や木の外壁に映えている。黒い庇(ひさし)によって水平が際立つ
すっきりとした外観。
屋根は低めで、緑の中に楚々とある。アプローチに回ると、木々の間に見え隠れして玄関が見えた。
葉っぱに誘われるように中へ入ると、正面の窓からも緑。ここは、緑に囲まれ、緑を包む住まいだ。
「緑を眺めながら暮らしたい」。M夫妻はまず、そう伝えたという。「プライバシーが守られながら、
ワンフロアで暮らしが完結するといい」。
提示されたのは平屋のプラン。「あ、平屋なんだ、と思いました。でもすぐに「いいな」と」。
玄関ホール、LDK、寝室が中庭をコの字型に囲む間取りは、いつ、どこにいても緑がそばにある。
その心地よさが、図面から見えたという。
二人がもっとも多くの時間を過ごすLDKは、大きな窓で中庭に面している。
「中庭はもう一つの部屋。だから昼間はいつもカーテンを開けておきます」とご主人。
時にはデッキでご飯。「ちょっと寒くなると、カセットコンロを持ち出して鍋をしたり」。そんな時でも、外壁に組み込まれた格子が、外からの視線をカットし、プライベートに浸れる。
緑は、室内にもあしらわれている。ソファの脇や寝室には観葉植物、花瓶には庭で切った枝。
「ただ、外にたくさん緑があるから、部屋では控えめに」と奥さま。代わりに、ご主人が受け継いできた絵や書が随所に置かれている。
玄関、ベッドの脇、時計の下。季節に応じて、庭にも生えているギボウシの絵を出したり、梅雨には傘の版画や「雨」の文字を飾ったり。
白い壁やすっきり整えられた室内がうってつけの背景となり、室内のどこを切り取っても絵になる。
景色の中を愛猫「しらす」が横切るのもまた、絵のようだ。
洗面スペースやバスルームなどの水回りは、キッチンの近くに集められている。
直線上に置いた冷蔵庫など、家事動線は効率的で「とても使いやすい」と奥さま。
「すっきり見せたい」という二人の要望に応えて、リビングや寝室にも大容量の棚を造り付けている。
ただし壁一面に伸ばしつつも高さを抑え、対面キッチンの壁もあえて吊り棚を設けないなど、余白が大事にされている。
「モノは増やさないと思っても増えていく。でもこの家に引っ越してから吟味するようになりました」。
座面を張り替えた中古の椅子、TECTA(テクタ)の家具、ルイスポールセンの照明。
選りすぐり使い込まれたモノたちとともに、ほどよい生活感が落ち着ける雰囲気を生み出している。
引っ越して5年。「最近、当時の写真を見たら木が小さくて『こんなだったっけ?』と驚きました」。
確かに、当初は、外壁の素材も、箱型の建物もくっきりと見えた。
今、奥さまの手入れと季節を経て生長した木々と住まいは、当時よりずっと風景になじみ、
公園のそばで、緑の心地よさを周囲にも届けている。
●「白いハコの家」住まいの実績写真は こちら から