高田清太郎ブログ

NO.35 「屋根裏の小部屋物語」・・・・小さな巨人ロフト空間



エッセイ

物語は決まって屋根裏の小部屋から始まる。満天に散りばめられた星。月光を横切るシルエットはE・T?。久遠のかなた、宇宙からのメッセージはまず小屋裏に届くからかもしれません。
狭くそして低く、息も押しつぶされそうになるのに妙に秘密めいていて胸がときめく小屋裏。(ロフト)。立って楽に移動できない空間ですが、座れば結構落ち着いた居場所。「魔女の宅急便」の少女キキが、ほうきに乗り一生懸命に空を飛ぼうとした訓練場でもあります。
住宅にとられるロフトは、建築基準法で階数に算入されないためには高さを140センチ以内にしなければなりません。小屋裏というから裏方に間違いはないの ですが、住まいづくりをしている家族の一人一人に豊かな心持ちを与えてくれる、とてもインティメットな楽しい空間でもあります。

Kさんのロフト空間は、普段は小屋裏天井まで吹き抜けているのですが、長岡花火の時にはグリッド梁に畳パネルを敷くことによって特設観覧桟敷が出来あがります。Kさんの小屋裏はおしゃれなギャラリー空間に変身。
Eさんのロフトは外観の主要なアクセントにもなっていて、家族や訪問者を楽しませてくれるユニークなデザイン。小屋裏へ続く階段室はガラス張りで、内部はちょっとしたミニ宇宙といったところ。ここからは、四季の移り変わりを堪能でき、夜は星空を楽しむ展望台と変わります。
Wさんのロフト屋根は全面ガラス張りです。少々(?)夏は暑く、冬は寒い。見方を変えれば、自然の季節感をしっかりと体験できる貴重な空間といったほうが良いかもしれません。頭の部分が開放された空間は、ストレス発散の居場所でもあります。
このようにロフトはもはや裏方ではなく、建築全体の中心的なデザインファクターに昇華されてきていると言っても過言ではありません。
小さな空間が実は住まいのデザインやコンセプトを決めるキーポイントになったり、時間と共に使われ方も百変化するのです。ロフト空間こそ、まさに住まいにおける「小さな巨人」といったところでしょうか。