高田清太郎ブログ

NO.56 「寝室」・・・・天井の高さ 照明が大切



エッセイ

ベッドと畳の天井に変化を持たせた寝室(左)、

採光のバランスを考えデザインされた窓(右上)、塗り壁と間接照明による落ち着いた質感(右下)

 

 

忘年会のシーズンです。おいしいお酒は雪国の豊富な水に よって育つ稲作によるところは大です。ただ飲み過ぎると翌朝には記憶がなくなっていることがあります。しかし、どうして酔っ払っても人は無意識のうちに家 に帰るのだろう?不思議です。人にも動物のような帰巣本能が添えられているのでしょう。「食・排・寝」は「人間の三大生理」です。食することと排せつする ことは意識下で行われますが、寝ることだけは無意識下で行われる行為です。
枕が替わると眠れないとは良く聞くことです。私たちは、無意識下でも慣れ親しんだ安全な空間を定点的居場所と記憶しているのでしょう。

寝室での生活は、他と違って視線は立ち姿勢にはありません。横になり、天井、壁を見ることが多くなるわけですから「天井の変化や高さバランス」は とても大切なファクターです。「窓と壁のバランス」による外部からの自然採光や間接的な人工照明「柔らかい光」のとり方もとても重要なキーポイントです。
Wさんの場合は寝室のべッドの横に四畳大の押し入れ付きの畳の間を取ってみました。畳の間は障子で間仕切りできるので、夜も気兼ねなく書斎として使用で きます。また季節ごとに気分転換を図り自由に枕するところを楽しめる空間にもなってくれます。ベッド空間は天井を高く、畳空間は天井を低くおさえ、照明は 和紙を使った間接照明で柔らかくしています。
Mさんの寝室の窓は、低い部分は思いきって低くし、高い部分のひし形トップサイドライトとバランスよく組み合わせました。内外部空間の関係を採光の仕方により、より良いものへと高めたかったからです。
Hさんの寝室は、湿度を調整し消臭効果のある自然素材の塗り壁でドーム形天井をつくりました。壁のブラケット照明と相まって包み込まれる空間を演出しています。
「一日の苦労はその日一日だけで十分である」寝室はそんなストレスを取り払い、心身ともにリラックスできる空間であってほしい。
鳥は夕方になるとねぐらに帰っていきます。「寝室」は人間にとって本能的に安全な居場所、やすらぎのある大切な巣空間です。住まいを私が「巣舞」と書く所以でもあります。