小さい秋見つけた!
エッセイ
エコバランス:どんな時代であっても「今のこの時代ほど厳しい時代はない」と考えるのが人間の性癖である様だ。
10月23日で丁度5年目を迎えた新潟県中越地震は各地で催しものが行われた。防災訓練・安全記念大会・シンポジウム・各種イベントと賑わいでいる。参加者も県内外からもやってきて多士済々である。
喉元過ぎれば熱さ忘れる?災害は忘れたころにやってくる?地震発生後は大変な忙しさを迎えた。3年間は超多忙期!そして4年目5年目はその反動で減速!被災地の復興も一巡して槌音は静かになってきた。(このこと自体は大変良きことであるが。)地震後症候群はもともと予定していたことだったが、リーマンショックと重なって不景気風に更なる拍車が掛かってくることになる。高速回遊魚の様に休みなく泳ぎまわることこそ危険なことでもあるが、上昇リズムと下降リズムがあるとすれば上昇リズムのほうが良いに決まっている。でもエコバランスで考えれば、今が一番いいとき!と何時も考えることも出来る。思考には現状肯定と否定がある。現状肯定だけでは改革が出来なく窒息してしまう。反対に現状否定だけでは常に緊張と不安定の中に住まうことにもなりそうである。だから、丁度良いバランスこそ大切でありそれをエコバランスと呼ぶことにする。
地震の発生した10月23日は今と同じ木々の葉が色づき始めた時であり、秋の真っ只中であった。その日も遠くから聞こえてくる歌声があった。
小さい秋、小さい秋、小さい秋、見つけた。
何と美しい詩だろうか!この季節にピッタリの詩でもある。おなじみのサトウハチロー作詞・中田喜直作曲の“小さい秋見つけた!”である。人は様々な風景を心の中に持っている。大きな思い出から小さな思い出まで、それこそ様々である。“小さな秋”だからこそ“大きい秋”では決して成り立たない何とも言えない叙情的な響きがである。
1.だれかさんが だれかさんが だれかさんが 見つけた
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
目かくし鬼さん 手のなる方へ すましたお耳に かすかにしみた
呼んでる口笛 もずの声
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
2.だれかさんが だれかさんが だれかさんが 見つけた
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
お部屋は北向き くもりのガラス うつろな目の色 とかしたミルク
わずかなすきから 秋の風
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
3.だれかさんが だれかさんが だれかさんが 見つけた
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
むかしのむかしの 風見の鳥の ぼやけたとさかに はぜの葉ひとつ
はぜの葉あかくて 入日色
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
詩自体は突き詰めると中々分かりにくいが、断片的に共感することが出来るのが詩でもある。私にとっての小さい秋はやはり3番の紅葉である。はぜの葉ではなくてもいい。むしろ、もみじの紅葉の方がピッタリでもある。そして私の小さな秋は「紅葉・落ち葉拾・たき火・焼き芋」と単純な連想を繰り返す。そしていつの間にか曲も“小さな秋”から“たき火”に変わっている。
「垣根の 垣根の 曲がり角 たき火だ たき火だ 落ち葉たき あーたろうか あたろうよ 北風ぴいぷう吹いている」
風景は急激に晩秋に入る。寒ければ寒いだけ小さなたき火も暖かなものである。しかし、近年はダイオキシン発生源は禁止!と言うことでたき火はご法度である。現実の風景から思い出になるのに、その思い出の誕生を許容しない時代になってきたことはちょっと寂しい限りである。それでも、落ち葉が舞いりる季節:落ち葉と共に響き渡る:小さい秋!の名曲は私達日本人の心に何とも言えない郷愁を呼び起こすものです。
だから詩だけでも大きな声で歌おう!いや小さい秋は小さな声・澄んだ声で歌ってほしいと!再忠告を受けそうな今日この頃である。「とかくこの世は住みにくい!」と嘆く漱石先生のあたらしい1ページを期待して!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・文部省唱歌
1.雪やこんこ 霰やこんこ
降っては 降っては ずんずん積もる
山も野原も綿帽子かぶり
枯れ木残らず花が咲く
2.雪やこんこ 霰やこんこ
降っても 降っても まだ降り止まぬ
犬は喜び 庭かけまわり
猫は火燵で丸くなる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・相馬御風
1.春よ来い 早く来い
あるきはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒(はなお)の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている
2.春よ来い 早く来い
おうちの前の 桃の木の
蕾(つぼみ)もみんな ふくらんで
はよ咲きたいと 待っている
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・文部省唱歌
1.夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは
茶摘ぢゃないか
あかねだすきに菅の笠
2.日和つづきの今日此の頃を
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ摘め摘め
摘まねばならぬ
摘まにや日本の茶にならぬ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんだか分からないが続けて歌ってしまった。