高田清太郎ブログ

プチリプチは仮称の愛称



建築/巣舞.間知.趣舞

暮らしと介護を支える住宅の実際

今リプチの森では、槌音高くプチリプチの建築が始まっている。と言いたいところであるが、やり方を出し始めたら突然雪が降り始めて、槌音どころか雪かきに懸命である。
交付金が支給される工事は、国県市から内示なるものをもってスタートすることになるのであるが、当福祉施設もその手続きを踏むことになっていた。例年であるとその内示は7月~8月には出ており、遅くても9月には出ていた。しかし今年は政権が変わったせいなのか? どうかは良くは分からないが、漸く12月2日付に降りてきた。それやあれやの段取りでやり方を出すことが出来たのは12月14日であった。本格的に雪が降り始めたのは、17日の未明からであった。それも新潟市が24年ぶりに積雪深28cmを記録。3日間断続的に降り積もり45cmを記録したのであった。
その後長岡にも雪雲が移動し、基礎工事の掘削をする時には雪との格闘であった。場所によっては、積雪は1m位になった。〔勿論、雪国長岡にとっての1mは大したことはないことであるが、基礎工事のときの1mはかなりきつくもある。〕何でもっと早く内示をくれないのか、悔やまれて仕方が無いことしきりであった。地方の時代・地方の個性を大切にする時代といいながらも雪国の事情を理解してもらえないのはちょっぴり寂しい限りである。
どんな状況でも愚痴は大敵!「雨降って地固まる!」というから「雪降って建設に雪花が咲く!」と華やぐことにした。そんなわけで、プチリプチ建設現場情報をブログでお伝えできれば楽しい、完成を2010年6月に向かって。
ところで、先程から出てくるプチリプチとは何ぞや? とお思いの方もおいでだと思うので、少々説明させていただくことにした。プチリプチは、長岡福祉協会さんが運営するサポートセンター摂田屋〔仮称〕の“愛称”である。ここで“仮称の愛称”というのは、何ともややこしいことであるが、サポートセンター摂田屋はサテライト特養(20床)と小規模多機能型居宅介護施設(25名登録)と地域交流施設の合築した施設である。福祉施設さんが呼ぶ名称が「仮称」であり、私ども設計者がつくり込んだコンセプト名がプチリプチなる「愛称」である。
リプチの森に福祉施設を建築することを仕込み始めた当初から、リプチの森には施設のような容姿が似合わない。一度は施設らしいプランニングに向かったのであるが、当然福祉施設が大型化して、間知の景観を壊してはならないという思いは、リプチの森の町づくりの原点でもあった。つまり、リプチの森の巣舞づくリ・間知〔町〕づくりにはとても思い入れが強く、最初から通奏低音の様に流れていたのは、どんな建築も施設的で無く巣舞づくりの感覚である必要がある。計画された施設は居室が一戸々々の家の様であり、家々が肩を並べる佇まいは、リプチの森に住まう人たちと共振するのである。
そんな福祉施設計画を実行に移している最中に、小山剛新潟県小規模多機能型居宅介護事業者協議会会長(長岡福祉協会:こぶし園園長)様から「暮らしと介護を支える住宅の実際」について講演するように依頼があった。・・・ここで話すと大変長くなるので、別のコラムで書くことにして骨子だけを箇条書きすると:
キーワードは「つないでいく」である。老人になって、介護のために遠地の施設に入れられるとその時点で記憶の切断がなされる。
出来たら今まで住んでいた地域で、出来たら今まで住んだ住宅で! 居宅介護支援」の充実である。それでも駄目なケースの時は、中間的考え方として地域に小規模の支援施設を分散してつくって行くことである。
介護に拘らず、人間は「居場所」が無いと生きていけない!
その居場所もどのように住まうか? すま「居方!」が大切! 外部対象者との関係性の問題!
包み込まれる居場所はお母さんの子宮の中にいた原体験であり、小高いところや高床に住んだ先祖達は水害・野獣から身を守る工夫をしてきた。DNAの中で記憶は転送されて行く。
やがて巣舞は、肩寄せ合い集合していく。そこで大事なのは、距離感が大切な「間知」づくりである。医療福祉施設の施設と運営者のあり方で、その歴史はどんどん変遷してきた。「囚院」「僧院」「病院」「健院」と! 「老人」問題は厄介な問題だと考えがちであるが、経験豊かな人は「豊人」と呼ぶことにする。「老人と豊人」は今後掘り下げていかなければならないテーマでもある。

私の講演に続いて国土交通省住宅局総務課長の菱田一様から「暮らしの基本、住宅のあり方と今後の課題」についてお話があった。こちらは行政が進めようとしている方向や法律がらみの話しであった。特に今後施設を増やさなければ、老齢化する人口に対応できないというのである。かつての政権では、30%アップといっていたが、現政権は300%にせよと一気に3倍計画である。そのために絡む交付金支援金のルール作りのガイドラインのご案内でもあった。今後ともハードとソフトの整備はとても重大である。又、より良き提案が求められて止まない! リプチの森が住宅だけで無く、福祉施設・地域交流施設と調和してより過ごしやすい森になってくれることを強く祈念するものである。
お近くにお越しの節は、そんな間知づくりを覗いて頂けたら幸いである。

  
プチリプチの模型 プチリプチの正面玄関 リプチ通りからのプチリプチ
  
山も田も雪景色:絶景かな 雪降り前の一部遣り方完了 掘削と同時に雪が降り始めた
  
土+雪の根切り 人力排雪 雪の中での工事は根気比べ

掘っても掘ってもまだ降り止まぬ
  
小山剛園長のご案内   菱田課長は交付金絡みのお話 私の話は居場所論