高田清太郎ブログ

公民〔市民〕館竣工式に参加して



建築/巣舞.間知.趣舞

公民〔市民〕館竣工式に参加して
公民と市民:公民館から市民館へ!

新潟県中越地方は二度の大震災に見舞われた。2004年の中越地震と2007年の中越沖地震である。いずれもM6.8であり、震度は6~7であった。
中越地震は被害総額3兆円と言う激甚災害に指定された。その被害は甚大であり復興するには公的資金が投入された。
中越沖地震も被災者に国と県が支援金を給付する被災者生活再建支援制度の申請が8月15日に締め切られ、ほぼ99%が手当されたとの報告がなされた。
復興支援とは別に日常時から耐震補強に対する機運も高まっている。“木の家”耐震改修推進会議(呼びかけ人:養老猛司氏・天野礼子氏・小池一三氏他)は9月1日に東京フォーラムで開催された。
報告書の冒頭で「阪神淡路大震災における死亡者の92%は、地震直後の14分間に起きた圧死・窒息死等によるものだった。この事実は、地震への根本対策が先ず何をおいても住宅の耐震化にあることを教えている。」と書かれていた。
このような推進委員会の働きと相乗して国土交通省は、来年度の予算で、耐震改修に対する地方公共団体の負担を前提としない国単独の補助制度の要求を通したとメールが入った。
話は戻すが、中越地震では住宅復興支援とは別に「地域コミュニティ施設再建支援」が設けられた。事業費の3/4まで支給されるものである。この支援策の援助を頂いて多くの公民館が改修・改築された。こちらも平成22年8月末日を持って締め切られた。
藤沢町公民館はそんな最終期限を目前に建て替え工事が完了した。一年前からこの機をチャンスと捉え、建て替えしようという機運が高まってきた。
建設委員会が立ち上がり出発した。最初は設計図の確定からである。設計コンペが行われ、幸いにも、三社の中から弊社がチャンピオンになることができた。次には施工業者の選定・着工となった。工期4ヶ月ちょっとで完成することが出来た。
20100904には竣工式典が開催された。町民は60余名が出席しての挙行である。

2010藤沢町公民館竣工式 にてご挨拶               20100904
〔株〕高田建築設計事務所
代表取締役 高田清太郎
この度は藤沢町様の公民館建築のご竣工式典誠におめでとうございます。只今は身にあまるご挨拶と感謝状等を頂きましたこと誠に感謝申し上げます。
一言御礼の言葉を述べさせていただきたいと思います。
(ご町内の中には弊社のほうが直接お世話になっておられる方も多く、この席をお借りして御礼申し上げます。)
本日を迎えるまでには、その町のリーダーがとても大難儀をしなければならない場合が多々です。聞き及びますれば、その点、結束力が強くスムーズだったと聞きました。町内会長兼建設委員長のK様、建設副委員会長のE様はじめ建設委員会関係各位には大変お疲れ様でした。
私共で設計のお手伝いをさせていただくチャンスが与えられたこと感謝申し上げます。

プレッシャーと充分面倒:建設委員会の方からお話いただいている時、取分けE様のほうから「面倒なことは言わない!近隣・隣町でも沢山の公民館建築がされているから他に負けないように頑張ってくれ!」・・これってプレッシャー?とても簡単ではないことです。「注文は品質良くリーズナブルに!デザイン性を出してくれさえすればいい!それだけでいい」???
これって、細かく言われるよりもとても面倒なことなのです。しかし、設計屋にとっては遣り甲斐が出てまいります。建設委員の皆様は人の動かし方をとてもよ~くご存知な事です。
エンゲル係数:社会の豊かさは様々な尺度で測られます。一昔前の話ですが、その一つの尺度に、エンゲル係数と言うのがあって全支出の食費に対する比率でその家族の豊かさを計りました。(当然エンゲル係数が高ければ生活レベルが低いと言うことになります。)
民のかまど:その又むかしの昔、仁徳天皇は奈良の都にどの位の煙が立っているか眺めて民の生活の豊かさの尺度にしたと言い伝えられています。
「高き屋に のぼりて見れば 煙立つ 民のかまどは にぎはひにけり」 仁徳天皇が、高殿にのぼって国の中を見渡してみると炊事をする煙が見えなかった。「これは人民が貧しくして炊くものがないのではないか。これから三年は年貢を免税してやって、国民の暮らしを楽にしてやろう。」
三年ばかり経ち、外の様子を見てみると、かまどから炊事の煙が立つようになっていた。というものです。

町内の豊かさの尺度:現代ではどれだけ公共整備がされているかが豊かさの一つの尺度とされています。公民館を建てるというのはその町の豊かさと結束力の尺度とされています。地震被災後の補助金のつく期限に間に合ったとてもラッキーな決断でした。
各個人の巣舞いは良くなったが公民館を見たりするとがっかりする町があったと思ったら、反対に公民館だけがよくって町が寂れていてもいけない。バランスが大切である。
建築とは、紀元前のローマの建築史家ヴィトリヴィウス曰く。「建築は:強・用・美の総合芸術である」と!
ローマ時代は建築と言えば神殿・宮殿・競技場・公衆浴場と時の皇帝が記念に建造したものでした。美しくなければならない。強くなければならない。機能を完備しなければならない。
公民館もそうだと思うのです。
美:外観は隣の神社との連携を試み鳥居の上にお月さんが出ているような象徴デザインを施している。室内空間も気持ちよさを伴ったデザイン性を追及したものである。
用:2Fの大広間は総会等の大集会に!1Fの小間は集会人数に応じて必要な広さに繋がる様に。キッチンではアイランド式で多数が同時に作業できる様に!町内会長さんからは自分が教える!男の料理教室も開催できるように!その他様々な町内行事の用に答えられるようにされています。
強:正に非常時の避難場所となるように!避難場所は安全であるように構造は確りと設計されています。二階集会室は梁構造をそのまま見せることで安心感も醸し出すデザインにしている。
これから長い間、この公民館が町内の皆様からご愛顧頂ける事を衷心より祈念申し上げます。

・今年の夏は気象庁始まって以来の記録づくめであると報道がされています。〔統計開始以来113年で最高:平年より1.64度高い〕
茹だるような暑さで熱中症が例年の8倍とも10倍とも言われ、何でこんなに暑いのか?考えました。偏西風の蛇行で?太平洋高気圧の勢力が衰えない?CO2が多くなった?も確かであるが、それだけで無く、サーモグラフィーを宇宙船から見ると藤沢町公民館・町内が燃えていたとか!
益々、公民館が市民間として利用されること・ご町内益々のいや栄えをご祈念申し上げまして、感謝の言葉と変えさせていただきたいと思います。
本日は有難うございました。
P.S
摂田屋5丁目市民館広場では9月5日防災訓練が行われた。
集まるところが集会場・そしてそこが市民館である。

                 防災訓練では班毎に整列して非難する摂田屋5丁目町民たち。会長の挨拶で集合報告がなされる。250名が集まる。

              早速、非常時に準備されるトン汁と同じ振る舞いがされる。テントの下で美味しく頂く。

    藤沢公民館は鳥居の上にはまん丸お月さんが             吹抜けのエントランス    階段は幅広く

    キッチンでは男の料理教室が開催予定!二階集会室天上には大梁がそのまま表出している。