高田清太郎ブログ

朝の仕事は朝礼から始まる。朝の散歩は鳥鈴から始まる。



エッセイ

それは何の変哲もない朝の散歩道で起きた。
目覚めの朝、戸を開けると小庭の木々に緑がたくさんつき始めてきた。とてもさわやかである。心癒される瞬間でもある。その庭越しに飛び込んでくる挨拶がある。ホーホケキョ!目と耳から相乗的に朝の生命を感じる瞬間である。
朝の散歩は事務所の空気を入れ替えて机に向かう。メールの返信から始まる。多くのメールが来ていると散歩に行く時間が遅くなる。
散歩コースは工場の真ん中を通り抜けて何時もの福島江・太田川を渡って東山を望みながら田圃真ん中散歩である。福島江は信濃川から取水して田畑に送る農業用水である。雪消えと同時に始まる農作業。4月末から福島江の水は満水になる。その流れには勢いもあり、今年の豊作を祈るような気がする。
弊社のプレカット工場に隣接して鏝絵(こてえ)で有名なサフラン酒(吉沢仁太郎商店)がある。大きなお屋敷である。吉沢家の次男とは小学校の時の同級生であったから良く遊びに行ったことを想い出す。30尺ものケヤキの一枚板が敷き詰められている廊下は圧巻である。
その屋敷の森の中から突然江戸家猫八さんからの挨拶である。ホーホケキョ・ケキョケキョケキョ!と思いきや本物の鶯である。この鶯は江戸家猫八さんの鳴き声に似ている。まるで生き写しである。と錯覚する?
とてもさわやかな挨拶である。
鳥たちの声は重なる:ホーホケキョウ・ギャー・チチチチ・ビチピチピチ・ピーチク・ピッピピッピという鳥たちの鳴き声の合唱である。同時にホーギャチピ?ケキョチチ?ホピギャキョ?と不思議な音で鳴いてもしっかりと鳴き声は聞き分けられる。

太田川の土手ではケーン・ケーンと雉鳥が挨拶してくれる。雉のオスはとてもカラフルできらびやかである。ゆさゆさと殿様歩きしながらの風態にはどこか滑稽さが隠せない。
隠せないのはその鳴き声である。「雉も鳴かずば撃たれまい!」との喩があるように、「無用な発言をしたばかりに、自ら災害を招くこと」のたとえで使われている。
鶯と違って雉の鳴き声の挨拶はことわざ通りの響きがある。
YAHOO知恵袋には「雉も鳴かずば打たれまい」ということわざの意味の由来が紹介されていた。
ベストアンサーに選ばれた回答は諸説あるようですがと前置きがあった。
① 信州の昔話に由来する。人柱とは水神への生け贄として堤防の中に人を生き埋めにして堤防を作ることで、昔は結構あったことのようですがもちろん進んで人柱になる人はおらず生き埋めにされるのは罪人が一般的でした。誰を人柱にするかという話になった時に、娘の手毬唄を聞いていた人が父親が蔵から米と小豆を盗んだことを村人にばらしてしまいました。そして父親は人柱にされてしまい、自分が手毬唄として歌ったために父親が処刑されたのだと悟り話すことができなくなってしまった娘は姿を眩ましました。数年後雉の鳴き声を頼りに雉を仕留めた猟師の前に娘が現れ、雉も鳴かずば撃たれまいにとつぶやき雉を抱いて去っていきました。
② 昔、お城の石垣が崩れて困った時があった。何度、修理しても駄目であった。
遂に村人全員が集まり、智恵を出し合っていろいろ相談した。その時、一人の村人が「横ジマのきれ(布)でふせた着物を着た男の人を石垣の中に積みこむと崩れない」と言った。そこで皆の衆は、その人の言ったような男の人をあちこち探してまわったが、横ジマの着物を着た男は言い出したその人だけであった。それで、その人が石垣に積みこまれることに決定された。いよいよ積みこまれる日になって、家を出ようとした時にキジがケンケンと鳴いた。それを聞いた時にこんな歌をよんだそうである。キジも鳴かねばうたれもしない私も言わなきゃ積まれはせぬに!それから男の子には、横ぶせの着物は着せなかったと言うことである。
③ 雉は甲高い声で「ケーン、ケーン」と鳴くため自分の所在を簡単に見つけられて猟師に撃たれてしまうということから生まれたことわざ。
結構藪の中では見つけにくいのに、鳴かなければ分からないのに、あえて自分の居場所を知らせるのはどうしてなのだろうか?仲間を呼んでいるのだろうか?何かを相手に威嚇でもしているのだろうか?
ケーン・ケーンと鳴いている声が時々キケーン・キケーンと聞こえるから面白い。
現場で危険を察知したら直ぐに掛け声を発して一緒に仕事している仲間に危険を知らせなければならない。雉ロゴを作って貼っておきたいような気がする。

田圃のあぜ道には雲雀たちが朝の挨拶に忙しげに鳴いている。ピッピピッピピッピ!
なかなか度胸がある鳥で、歩く足元から飛び出ることがある。空に舞っている雲雀を見つけるのにはエネルギーが必要である。大空のキャンバスのどのレイヤーに焦点を合わせれば見つける事が出来るか?結構難しい。じーっと見ていると、いつになく フォーカスがあってくるが、合わせるまでに聞こえてくる鳴き声な人一倍である。

3月31日には異様な鳴き声が聞こえるではない。毎朝の散歩道で聞いたことのない鳴き声である。
太田川に流れるゴミツボ川の中から聞こえてくる錯覚音に息を殺した。鳴き声ではなく、話し声なのである。ピョピョピョ・・・・ピョピョピョ・・・・ピョピョピョ・・・・
土手の中からと思いきや大空からの鳴き声に気が付くとなんと白鳥の群れであるではないか?大群である。雁行形をして移動中である。東山の方から西山の方に群れが飛んでいく。東日本大震災からの非難の方角である。天変地異は動物たちや鳥たちの特殊嗅覚を働かせてくれる。何か起こらければいいがと思いきや!原発放射能を感知したからかもしれない。彼らは情報操作もしないし、もともと本能的に感知能力を持っているからである?

猟師たちの鴨撃ち解禁期間が終了すると逃げることをしないで悠々と泳いでいる鴨たちはグワッグワッと遊びに一生懸命である。悠々と泳いでいる様に見えるが鴨の足の水面下はかなり忙しいからユーモアがあって楽しくもある。

太田川に足を突っ込んで魚を待ち取りするアオサギはグワッ~グワッ~と鳴く。シラサギはギャッギャッと鳴くがその鳴き声と容姿には少々の違和感を覚えるのは私だけではないだろう。警戒心の強い鳥で人を見ると、かなり遠くからでも飛び去っていく。その時の鳴き声は喉の奥で震えるようなルルルルッと鳴くのである。
カラスのガーッは分かりやすく、毎日の外朝礼の時に邪魔をする。対極にはカワセミのチチチチの可憐な鳴き声も太田川で毎日聞ける。鳥たちの様々な鳴き声が加わり大変楽しい朝の散歩である。そして雪どけの朝の風景には田圃・野良仕事の音の風景が加わる。

また、重量貨車を引っ張る音はそのまま重い音であり、客車は軽快感なスピード音である。川のせせらぎの音と相まってミックス音はとてカラフルである。

弊社の朝礼は晴れると工場土場で体操から始まる。雨天は室内エコホールで行われる。その時に使われる教材は倫理法人会から出されている「職場の教養」である。
その内容の半分くらいが「挨拶」についてのコメントであるような気がする位に毎日挨拶の重要性を伝えている。
朝の挨拶がいいと本当に一日が充実しているような気がする。朝の鳥たちの鳴き声で始まる散歩!私の朝礼は鳥たちの鈴の音であるから鳥鈴(ちょうれい)!

*タレント名鑑からの江戸家猫八師匠の顔写真:いつもホトトギスの鳴き声には本物のホトトギスを超えている?

 四代目江戸家猫八さんのホトトギスの鳴き声は逸品である。
師匠の誕生日は1949年11月30日である。
私の誕生日が12月30日であるから丁度一カ月の先輩になる。血液型はA型とプロフィールにあった。私はO型である (誰も聞いていない?)
動物の声帯模写を得意とする、落語協会所属の物まね芸人!旧名は江戸家小猫と称し2009年から江戸家猫八を襲名する。本名は岡田八郎さん。

   鴨の親子の挨拶は「が~っ」       カワセミは「チチチチ・・・」      川の欄干にのってアオサギは「ギャーッ」      福島江で魚を狙う二羽のサギにもう一羽が舞い降りた:微妙な距離感? 魚を見つけて移動するサギは静かである。

  太田川で遊ぶ鴨たち「ガーコ」大合唱                        きれいに雁行系で飛来する白鳥の群

  キジも鳴かずば写されまいに!シャッター音を無視して殿様歩きで河原へ降りて行った!朝の朝礼に間に合う様に

  サフラン酒のお屋敷からホーホケキョ! 鏝絵(こてえ)蔵は文化財!