「まちかど美術館」に向けて
エッセイ
* 9月に入った途端に秋の空気が拡がってきた。日中はまだまだ暑いが朝晩には掛け布団が必要になるあんばいである。台風12号の爪痕は痛々しいばかりである。死者・行方不明者含めると100名を超えて近年の悪しきリコードとなってしまった。ここのところ、天災が頻発しており大変不安定である。一億総決起でスピーディーな復興を祈念するものである。
・ しかし、この時期は収穫の季節・ハーベストタイムである。豊かな季節でもある。
・ 天高く馬肥ゆる秋!食欲の秋である。同時に灯火を楽しむ読書の秋であり、芸術の秋である。
・ そんな季節に長岡市立上組小学校6年生の児童達がやってきた。
・ 若きアーティストたち3クラスで97名が三人の先生+実習生一人に先導されて弊社工場にやってきたのである。
・ 幸いにも天候は上々である。風も適度にあり制作活動するには持って来いのコンディションであった。用意された西倉庫だけでは狭く駐車場にまで拡がっての屋外工房となった。お蔭でのびのびと作業できる空間が確保できた。
・ 最初に先生から挨拶の号令がかかり、ご挨拶と注意事項の説明があった。
・ 用意された道具は各自が持参した金槌と学校側からは釘・接着剤(グールガン)である。
・ 使用材料は端材だから木のとげが出ている。気を付けないと肌に刺さって血が出ますよ!と言った矢先に先生から「イタッ」と指にとげを刺した早速の実演指導であった。
・ 私の挨拶もごく短かく、早速、制作行動に入ってもらった。
* まちかど美術館運動の一環として活動している上組小学校では高学年6年生全員で自分で歩んできた12年間を表現してみようと言うことで始まった。
・ 12年間と言う人生の一節をタワーで表そうと言うものであった。テーマは題して「マイタワー」である。
・ これに先立ち先般小学校にお伺いして私の方からお話しさせて頂いた。テーマは「まちおこし」について話した経緯がある。
・ そして完成した自分たちの作品を宮内商店街の通路に並べて展示しようと言うものであった。時は摂田屋町おこし「おっここ市」の開催日10月の第一土曜日(今年は10月1日)である。
・ 宮内駅前から通路の並べられた作品はきっと圧巻であるだろう!まち行く人々の目を潤し、醸造業の町・会場を目指し歩く人々を癒してくれることだろう。
・ 材料はタカモク(高田建築事務所資材部・プレカット部の会社)の加工端材を使って自分の人生をイメージして形作ろうと言うものであった。
・ そんな訳で制作工場には資材がとても豊富だ!5個のスチール箱に集められた端材を並べて自由に取れるように配置した。制作台は事前にパネル箱を用意しておいたが実際にはほとんどの児童は土間で所狭しと制作を始めた。
・ あらかじめ担当教諭であられる長谷川先生からはご自分で作られたモデル写真が送られてきた。必要な資材の事前打ち合わせと言ったところであった。
・ 制作作業は材料を手にしたと同時にトンカチの音が鳴り響く。考える島がないと言ったところである。実に行動が早い。ゆっくり構想を掲げて!などと悠長なことを言っていられない。
・ 材料が触発する発想をそのまま形化していくと言う、極めて柔らかい頭脳と連鎖していく作業行動である。
・ タッチとタッチの差でタブローを作っていくと言っていたアメリカの画家ジャクソン・ポロックの言葉を思い出した。
・ それでも何イメージして作ったのか?と聞けば、それなりの答えは返ってくる。見る人のご自由に!と言う児童も何人かはいた。
・ 夫々は全て似て非なるものが出来たと言っていいと思う。これが個性だ!
・ 制作時間は朝9:15分から11:45分までの感動劇場
・ 皆夢中である。釘や接着剤で合体作品を作っていくのが本当に好きなのである。休み時間の合図に耳を貸さずに夢中である。一瞬たりとも手を休めず槌音は消えることはなかった。
・ 見ていて本当に気持ちのいいものであった。
・ 今回の制作作品の注意事項の一つとして先生からは自分一人で持ち帰ることが出来る大きさにするようにと言うことであった。ところがこの与えられた条件など何のその!とても一人では持ち帰れない大きさと重さで作られた作品が2~3点見受けられた。
・ まさしく、12歳のマイタワーはそんな小さなものではないと言わんばかりであった。頼もしい限りである。一台は先生の車に乗せて、もう一台は仕方なく二人で運ぶ羽目になった作品もあった。
・ 今回は木材を使っての組み立てであった。同じ端材を使っても出来上がるタブローは全く別物である。これが面白い。料理の鉄人が同じ食材で大変化させてしまうのと同じである。
・ 完成まで3週間ちょっとである。教室では必要によっては色彩を付けることも考えていると言う。更に作品は個性を余計に増長する。完成して町に作品が並ぶときがとても待ち遠しい。
・ 繰り返すが、2.5時間濃密感動劇場であった。
* 長岡市立上組小学校の長谷川先生から感謝メールが弊社担当神林に届いた。(そのまま転写)
・ 神林様
・ 本日は、ありがとうございました。
・ 高田建築の社長をはじめ、関さんや平澤さんたちにも、細かなところまで協力していただきました。とっても充実した制作の時間になりました。子どもたちもとっても楽しんでいました。
・ 様々な形からイメージを広げて組み上げることに夢中になっていました。
・ 予想はしていたのですが、釘を打つのは楽しいですね。思う存分、釘を打っていましたね。
・ 子ども達の発想力にあらためて驚きました。
・ 高田さんの環境と材料のおかげです。
・ 学校では来週あたりから色塗りをしていきます。宮内商店街に飾られるのが楽しみです。
・ どのように作品搬出入をしようか、検討中です。
・ おっここ市(今年は10月1日)当日の動きが課題ですが、いいものができそうでうれしいです。
・ 皆様によろしくお伝えください。
・ ・・・・と感動の手紙ありがとうございます。
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スタッフ平沢君からのリポートでした!
児童がやってくる前の打ち合わせ会! 道具の不備がないかと確認する長谷川先生!
用意された道具たち!箱の中から取り出された金槌やグールガン!
釘もたくさん用意した。 スチールボックスに詰め込まれた端材たち!形も様々ですよ。
富樫先生に先導されてやってきた上組小学校6年の児童97名:整列・着席・先生の注意事項をしっかりと聞きこむ!
ここがタカモクの西倉庫だ! たくさんの端材があるぞ! 嵐の前の静けさを醸し出すトンカチ達!
倉庫の中では間に合わない。北倉庫の外部は屋外アトリエステージ! 端材を持つなりトントン・カンカン!
希望材料を関課長から切断してもらう。 いつの間にやらこんな形ができてきた! 私はバランスやじろべえ?
ちょっと変則な足長おじさん? 今にも歩き出しそう:よっこらしょット!ひげじいが出来上がった?どこに連れて行く?
私も負けないよ。もうちょっとで完成? ついに動き出した?手がふれた? 私は完成・感性?
ピース!いいじゃないですか! そのままマイタワー! タワーが横たわった?もうすぐ立つよ!
アンバランスのバランス! お姫様のお城は現在不動沈下中? 親子タワー?母親が子供をアヤス?
さーてと試し撃ちは誰にしようか? 自分よりも大きいものを作ってしまった? これも完成?
平場から見てください。いい出来でしょう? こちらもはみ出しタワー? 多塔のマイタワーは如何?
作業は終了:作品を集めて下さい! おやおや作品たちがしゃべってる? 袋の中では窮屈だ!オーイ!
両軍が正面衝突? では皆様:私は一足お先に! あーあ大きいし重い!どうやって運ぶの?
思いっきり不整形だからさまざまな国の言葉で話している!だよね? サー学校に持ち帰ろう!ありがとう!
タカモクの工場の壁面に作られた柱の端材を使ってのモザイク地図は新潟県に見えませんか?佐渡もあるでしょう?