聯合艦隊司令長官:山本五十六 70年目の真実! 東映配給20111223
エッセイ
* 20111223:聯合艦隊司令長官:山本五十六が公開された。全国300か所以上で同時公開だと言う。私たち夫婦も待ちに待ったこの映画を初日23日の午後から観ることが出来た。地元長岡シネマ館では封切り最初の上映には多くの方が朝早くから並んだとも聞いた。
私たちの午前中は今年最後のお茶の習いごとであった。久しぶりに炉の薄茶点前をさせて頂いた。又おいしいお茶もいただき精神もピッシと高揚しているところでの映画鑑賞であった。
山本五十六長官は私たちの郷土長岡が生んだ英傑である。映画の中でも長官の部屋に掲げられ、たびたび出てくる「常在戦場」は長岡藩家老河井継之助の言葉であり心であった。
河井継之助は「常在戦場」を掲げて戊辰戦役を戦い抜いた。結果は敗戦であったが、その心は末裔に伝えられている。私にとってはどういうわけか「いざ鎌倉!」と似た響きがあり忠誠心をベースに未来を展望する力と危機管理能力が秘められている。
映画の中では同じく長岡藩の大参事小林虎三郎の「米百俵」の精神も取り出され長岡人精神を立体的に語って見せてくれていた。
私自身は河井継之助を司馬遼太郎の小説で知り、小林虎三郎の米百俵の精神は山本有三の戯曲によって知らされたのに対して山本五十六長官は小さい時から耳によって聞きなれた言葉であった。
親世代たちが敬愛していた山本五十六なる人物像が子世代の私たちに自然と移入されてきたのであろう。
アメリカ映画の「パールハーバー」(2001年制作)と比べることは日本の武器能力とアメリカの武器をはじめとした戦争能力とを比べることに等しい差があるが。
映画「山本五十六」は戦闘シーン等のスケール感では映画「パールハーバー」にかなわないものの戦争の真実を伝える内容では大きく勝っていた。映画「パールハーバー」がロマンスを取り入れた娯楽映画であり戦争を正当化して煽ることを主眼にしておりるのに対して、映画「人間・山本五十六」は絶対戦争をしてはいけない。戦争回避に身体を張ってを食い止めようとしたその想いのスケールでは遥かに勝るものがあった。
何とか戦争を回避したい・戦争推進派の陸軍とメディアに対して何度も何度も戦争反対の立場をとるがついに海軍内部でも抗しきれなくなる。戦争反対の山本五十六長官も一度決戦となれば腹をくくる。国を守るに迷はない。勝たねばならない。しかし、軍事力の大きな差から長期戦では勝てぬことは自明の理。
シナリオでは緒戦で一気呵成に奇襲を仕掛け大被害を与えて戦局を有利へと導く。その後直ぐに講和に持ち込むことにあった。
日露戦争に参戦していた山本五十六は日本の軍事力が底をつき始めてきたときに日本軍が旅順を落とし奉天の戦いで勝利しバルチック艦隊に大勝利したことで有利な立場に置きロシアとの講和条約締結に至らせることが出来たことを知っていた。
大山巌・小玉源太郎がとった日本の勝利シナリオである。戦闘が長引けば日本は必ず負けることが火を見るよりも明らかであった。
日本の軍事力はロシアもアメリカも日本の比ではない。
山本五十六長官は軍人の大きな責務・使命の一つに始めた戦争を如何に早く終結するかにあった。日露戦争を終結させたシナリオをこの太平洋戦争でも適用しようとしていた。
・戦闘は情報戦争でもある。
日本からの開戦通知が不手際で奇襲開始後30分後に漸く届いたのである。映画の中で山本は言う:日本の侍魂は闇夜に後ろからいきなり切りつけることを潔しとしない。再三にわたって部下に対して事前に宣戦布告をしているかを確認する。奇襲直前にも抜かりの無いように打診したが結果としては山本長官の意が届かなかった。この時点で長官自身の中には負け戦に写ったのであろうか?どんなことにも義がなければ戦えない。そう考えるのが日本の侍であり、日本魂である。
実際には真珠湾攻撃が行われる情報は開戦よりもかなり早いうちにアメリカ情報部ではキャッチしていたと聞いた。
情報は筒抜け。その証拠に敵戦艦空母が一隻も湾内には認められなかった。まんまと戦争の仕掛け国に仕立て上げられたのでもあった。アメリカのシナリオに乗って戦争に突入とか?
奇襲を受けたとなってはアメリカ人の愛国感情に火がつく。
眠れる虎を起してしまったと同じことになる。
この映画の中では日本の新聞等のメディアが戦争へと煽り立てる部分が沢山あり、戦況を現実状況をわが軍にとって有利なように歪曲して間違った情報で国民を煽り立てるのである。
新聞社の一人に山本は何度も繰り返して言って聞かせるのである。『目も、耳も、心も、大きく開いて世界を見なさい』。非常にシンプルだけに言葉には持つ力がある。
そうすれば最初から戦争はしなかっただろう。と!
山本五十六自身も前線基地視察を通して士気を高めようと飛行機で出かけるのであるが、ここでも長官の行動情報が筒抜けでもあった。結果、目的地寸前でソロモン諸島の空で撃墜されてしまった。
山本五十六の故郷、長岡も空襲を受け1476名の方々の尊い命を失った。日本全体では200万人とも300万人とも言われている次第である。
戦争は負ければ地獄、勝っても尊い人命や大きな被災を受けることになる。絶対に避けなければならないもののひとつである。この映画はそのことを伝えると言う一念が貫かれていた。
ここでも「隠れているもので明るみに出ないものはない!(バイブル)」のとおりである。
繰り返すが、70年目の真実とサブタイトルされたこの映画をみて戦争を始めたと言われていた山本五十六長官が実は身体を張って戦争反対者であったことを知らしめたのである。『目も、耳も、心も、大きく開いて世界を見なさい』と言った人は、ことを始めればどうなるかを最初から知っていたのである。そのことを多くの人に知ってもらいたい映画の主旨である。
* 人間:山本五十六語録に
「やって見せて、言って聞かせて、やらせて見て、ほめてやらねば、人は動かず。」
「男は天下を動かし、女はその男を動かす。」
「苦しいこともあるだろう。云い度いこともあるだろう。
不満なこともあるだろう。腹の立つこともあるだろう。
泣き度いこともあるだろう。これをじっと、堪えてゆくのが男の修行である。」
「人は神ではない。誤りをするというところに人間味がある。」
映画の中でも戦争に断固反対するが、同時に間違った人間を結果で攻めることはない。
忍耐?寛容?
愛国心を表するに戦争をもってやる人もあり、戦争を避けることを通して表する人もいる。そして後者はとても少数である。
2.5時間と言う超大作である。なのにまだまだ伝えきれない不完全燃焼を覚えてしまったのは私だけだろうか?続編傑作を一人期待したい。
* 20110930:上映に先立ち約3か月前に東映制作になる聯合艦隊司令長官:山本五十六――太平洋戦争70年目の真実!感謝の夕べにお招きいただいた。
長岡市と長岡商工会議所が中心になって応援しており森副県知事・森市長はじめ全地方メディア関係者含めて300名ほどの方がご招待受けた。地元の英雄を映画化すると言うので大変な盛り上がりであった。長岡グランドホテルの大会場は満員であった。
市長の挨拶の中に「真珠湾攻撃に指揮を執った山本五十六長官は長岡市出身!ハワイとの友好関係を結ぶにあたって当初は引くものがあった」と言う!
しかし、アメリカ側からの挨拶の中で、「山本五十六は素晴らしい尊敬できる軍人である。戦争を回避しようと一心不乱に取り組んでいた。しかし一度、戦争が始まれば最後まで軍人としての務めを全うする。今度はどうしたら勝利できるかを考える。後ろを見ない。これが軍人の姿。アメリカの軍人も皆そうだ。愛国心を持つ軍人は日米の別はない。だからアメリカではクーデターは起こらない国である」とも紹介された。心にしみる言葉であった。
当時作品の出来は60%で12月23日全国一斉 封切予定のご案内があった。
山本五十六役の役所広司とパイロット役者の五十嵐隼士そして監督の成島出氏がご挨拶された。
スクリーンではいつも大柄に見える役所さんもステージに上がるとそんなに大柄には見えなかったのが印象的であった。しかし、12月23日の役所さんはとてつもなく大きかった。
余談であるが、制作会社の東映から「男たちの大和では興業成績は52億円だったそうであったが、五十六さんちなんで56億円を目指す」とも!
常在戦場:山本五十六演ずるは役所広司・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして本者の五十六さん!
この映画は3.11の大津波から二か月後のクランクインだったと聞く。スタッフたちの決意はその出来事と重ねて作り込んだとも言われていた。それだけに大作である。正月映画一押しである。まだ見ていない人は是非とも見て頂きたい映画の一本である。
最後のスクリーンは太平洋戦争の焦土と化した東京が映し出される。何故かこの度の津波被災地の風景と重なったのは偶然だったのだろうか?
立ち上がれ日本!再度立ち上がる日本をイメージさせる映像でもあった。
*今年も、拙い私のブログにお付き合いいただきありがとうございました。
・今年は災害の年でした。
大津波では行方不明者含めて2万人という尊い命が失われました。
原発事故では神話が崩れたといいました。神話が崩れたらどうなるのだろう?
人間が生きていくうえでなければならない「居場所」がなくなってしまってはどうしたらいいのだろうか?
未曾有の自然災害だと思ったら(+)人災部分もどんどん明るみに出てきました。
「絆」の大切さを学びながらも、まだまだ復旧と言っていた現地からの電話に心が痛みます。
ただただ、一日も早い復興と平安を祈念するものであります!
*来る年こそ良き年でありますように!
長岡本社では27日に!新潟営業所では28日に鴨汁を作って来年の元気を!