竣工の舞:慈眼寺のおぢや保育園さま:認定こども園が竣工
エッセイ
すまいは巣舞!
巣は形・舞は想い!
想いを形に!
巣舞るフォー・ユー!
高田建築事務所!竣工の舞:慈眼寺のおぢや保育園:認定こども園* 3月22日(金)・23日(土)の両日はおぢや保育園様の一般見学会の為に開放された。・ 天候が良くてみなさん多数がおいでくださりアンケートは300組位頂いた。入場者は600名くらいの方がおいで下さったとの報告。・ 元々、小千谷幼稚園は慈眼寺の住職さんが経営される学校法人舟陵学園の施設である。この度は小千谷認定こども園としての増築計画である。棟別では新築工事になるのである。・ RC(鉄筋コンクリート構造)2階建てである。面積は471㎡(1F:273㎡・2F:198㎡)の比較的チャーミングな規模である。・ しかし、自画自賛ではないが物語性はとても豊富であり、建物自体を子供たちの遊具にしたいと思って取り組んだ。子供のおもちゃ的な空間を目論んでいた。
・ 当建設敷地には木々が沢山立っており、コンペ第一案では木々を出来るだけ残した木造でハブ状のプランニングとしていた。
・ コンセプトは3つの理:自然の理・歴史の理・人の理でコンペに望む。
・ 慈眼寺さんはとても歴史のある由緒あるお寺様である。北越戊辰戦争では河合継之助と岩井精一郎の小千谷談判が行われた場所である。局外独立を守るために戦争避けたい河合と戦争をしたい岩井の話は短時間内に談判決裂した。
・ 私も何度かお伺いしていたとても馴染のお寺様である。
・ そんな歴史あるお寺様の幼稚園併設認定こども園計画である。力が入るのは当たり前である。入らなければそれは嘘である。
・ コンペ終了後は建設委員会とあらためて設計のお話を再出発させて頂いた結果どんどん形が変わって行った次第である。
・ 結局木造平屋建てから、その後の打ち合わせで3m耐雪のRC二階建てに変更になった。そして今日の形として誕生した次第である。
・ 元々、幼稚園はキンダーガルテン:子供の園である。
・ 敷地は慈眼寺さまの大きな境内の一角(一画)である。既存建築である小千谷幼稚園様の西側に残った雁行形敷地である。
・ 敷地に添って建築も雁行形になって配置された。
・ 南側外観は慈眼寺さまのジ=2(ギリシャ語では1・2・3・4をモノ・ジ・トリ・テトラ言う)と捉え二つの眼をお寺様の本堂に向かわせる。二つの眼は慈悲(慈+悲)の眼である。一対に迫り出したキャンチレバー構造でつくられた二つの顔は動の中にも静を醸し出す様にデザインしたものである。
・ 西側外壁の妻部分にはお釈迦様が飾られている。そこから落ちてくる命と慈悲の水滴は室内乳児室の壁面に一秒間隔で光として表現してみた。
・ 雁行形敷地なので東北側に園の入口を設えた。
・ アプローチ入口は夢のタイムトンネルボックスを通過してホールに招かれる。
・ すると、そこは小さな千の谷のある空間が演出されている。小千谷のネーミングをそのままデザイン化したものである。
・ 谷は木々と協奏しながら自然観を作り出す。やがて森の中に建っている一軒家が見える:窓から光が!ヘンデルとグレーテルを想い出すかもしれない。(そこは職員室であり、山姥は住んではいない)
・ ホールから南に向かって進むとそこは木々の語らい。木々のトンネルスペースでもある。上方に目を向ければ木々の枝々はリズミカルの波を打っている。心地よい空間でもある。
・ 正面にはもともとあった桜の木を室内に再生である。記憶が再現されている。その向こうに河合継之助の石碑がある。
・ 左には階段室。その下に床の間的な“ほんやら洞”の象徴が設置されるスペースである。階段手すりはコーラスチルドレンのお出迎え:じ・げ・ん・じ!と囁いている。
・ 上部手摺には障子紙風な照明器具を使うことで“和の演出”もしてみた。
・ 1F右に回ると乳児室と匍匐室(ほふくしつ)に続く:畳の乳児室の天井壁面照明光は1秒時間差で水滴が落ちて蓮の葉の上ではねてしまった姿をデザイン化したものである。(前述のとおり)
・ 子育て支援室は階段を登りきったところにある。少子高齢化時代:子供を育てたい希望家族があるにも拘らず働きながら子育てできる受け入れ態勢が届いておらず幼児受け入れ整備対応は急務でもある。この度の認定こども園は未満児の受け入れ態勢の整備事業でもある。
・ 天井のエアコン器具をおもちゃに見立てながらチャイルドトイとしてみた。
・ 大きなガラス面には衝突防止のアイストップマークがついている。それらは保育士さん達から選んでもらった魚や動物のシルエットを楽しむことが出来る。
・ 敷地の中にあった伐木された木々は再生されて室名札やピクトサインとなって復活である。とても味がある。
・ 小さな消火器入れも見逃さないように!鳥の巣箱のイメージである。ペーパータオル掛けもオリジナルだ。動物シルエットは楽しい空間を一層盛り上げてくれている。
・ 各室の地窓は夏の涼風を取り入れるための窓である。勿論格子建具で安全確保はされている。
・ 様々な仕掛けがちりばめられている。コンセプトは正に幼稚園自体を子供のおもちゃにしたかったのである。
・ コンセプトは確りと実現したか?又そのコンセプトは伝わったか?
・ 22日と23日に見学においでの観覧者から「お~っ・お~っ!」「ワ~わー!」時に子供たちのはしゃぐ声を聴いて(漏れ聞こえた声を聴いて)ひとまず良しとした。
・ 設計者冥利に尽きる一時でもあった。特に自分の乳児が入園する一緒に担当してくれた宮崎係長は緊張の限りだったろうと思う。(が楽しかったと総括してくれた)
・ 園長さまはじめ先生方・父兄の皆様:慈眼寺の檀家の皆さまの御支援を頂き無事に完成した次第である。その間・市役所はじめ行政からも沢山のご指導頂き感謝である。
・ 工事を担当して下さった(株)キムラ様社長様はじめ現場担当の久保田様:協力会社の頑張りを感謝している次第である。
・ 特に工事時期は真冬であった。珍しく12月の中旬から根雪になってしまった。大雨屋をかけての工事になったがこの仮設工事をしなかったら決して工期内に終了しなかったであろう。
・ ご近所の皆様からは工事中に大変ご協力とご声援を頂き感謝する次第である。
・ 多くの皆様からのご協力・ご支援いただき完成竣工であった。
・ これから末永くこのこども園(保育園・幼稚園)が愛され続けますことご祈念申し上げる次第である。
* そして、3月30日は竣工式典と祝賀会である。
・ 船岡理事長様よりご挨拶
・ 船岡園長さまよりご挨拶・工事概要・工事経過報告
・ 園長さまからはコンペ審査時の模様を話してくださった。コンペ提出時に木造案を出した案で選考されたわけであったが、その時に支持して下さったのは園長一人だったとのことを聞いてびっくりもした次第である。コンペ発表時に背筋が寒くなるような空気感を感じていたのはそんな背景があったからでもある。
・ 勿論、その後の打ち合わせでRC案になって温かい空気が流れて来出したことも今更ながらに思い出しているのである。
・ そして谷井靖夫小千谷市長と宮崎悦男新潟県会議員と久保田小千谷市議会議長からそれぞれの来賓挨拶があった。
・ 一様に時代背景としての少子高齢化対策が時代の避けて通れない部分でもある。行政も応援して行かなければならないとのことであった。
・ 竣工式典の最後に15分ほど頂いて今回のおぢや保育園様の設計コンセプト物語を語らせて頂いた。
・ 「物語語らなければ単なる物!」単なる物にしないためにも時間を頂いた。
・ 結果として20分ほどの時間となった。ここでも長話をお聞きいただき皆様大疲れ様でした。
・ それでも『語らなければ伝わらない=物語語らなければ単なる物!』
・ 祝賀会ではその語りを大層喜んでも頂いた。
・ 是非とも慈眼寺さまにお参りの節には隣接して建っているおぢや保育園のドアを叩いて中を覗いてほしいと思う次第である。
河井継之助と岩村精一郎の談判決裂の慈眼寺会談の間
慈眼寺本堂の北面には現小千谷幼稚園
コンペ第一案は立木を外しながら計画された木造建築
第二案はRC二階建て:慈眼寺は二つ(ジ)の目を持つ外観をデザイン:慈悲の目!
おぢや保育園を鳥瞰する
東北玄関はタイムトンネルをくぐった谷間に入っていく。
雪に埋もれた石碑(河合継之助の履歴)
玄関ホールは小千谷市のネーミングのように小さな千の谷が象徴となるように。
森の中に入り込むと地位ら名あかりの窓が見える。
ホールから南には樹木トンネルを通っていく。
玄関ホールと階段ホールを覗く
階段の踊り場の下はホンヤラ洞でもある。
階段手すりはジゲンジコーラス団
西面妻飾りはお釈迦様の肖像
西面ファサード
乳児室の照明には仕掛けが設けられている。時間差リレー照明は水滴がハスの葉に落ちてきて跳ね上げた風景である。
各室の名札は園庭木を製材再生したもの。
大ガラスにはアイストップ用の動物や魚が張られていた。
トイレの便器もとてもかわいい。
ペーパータオル入れもオリジナル。動物のシルエットが刻まれている。
ギャラリー廊下から石碑を臨む
消火器入れも鳥の巣箱のようにオリジナルで制作される。
2階保育室
二階保育室
二階保育室を荷室に分ける。
二階踊り場から下の臨む:
二階遊戯室から1階ホールを臨む。
二階から樹木通りの枝の下で