高田清太郎ブログ

爆弾低気圧発生と倍数トリック



エッセイ

すまいは巣舞
巣は形・舞は想い
想いを形に
巣舞るフォー・ユー
高田建築事務所

 

 

*    私達の周りには様々な指標が飛び回っている。
・    どの指標も見る人の目でその指標の位置が変わるから面白い。
・    すまいづくりや建築業を生業としている我々にとっては消費者物価の変動に並んで建築着工数の年度別変動に目が留まる。
・    特に消費増税後の前年対比には大変厳しいものがある。 倍数にして90%~70%だと言うのである。
・    企業には夫々固有の損益分岐点を持っている。100だった売上げが90になったら赤字になる会社もあれば75になっても大丈夫な会社もある。その原因は売上げがなくてもかかる経費:固定費があるからだ。
・    いずれにせよ、まずは損益分岐点を割らないことが必定である。
・    反対に売上げが前年度の倍になりました!と言えば昨今の風景からは、それこそ驚愕情報である。
・    しかし、1億円の倍なのか?100億円の倍なのか?では天地の差が出る。
・    国の生産力はGDP指標で現される。日本の成長が伸び悩んでいる昨今の数字は1%~2%でやっとである。マイナスを避けたい一念でもある。
・    しかし、至極当然のことであるが分母の数字が大きければパーセンテージは低くても1%の絶対額は大きい。
・    近年の日本のGDPを平均して500兆円と仮定する。するとその1%は5兆円である。台湾の10%に当たる。消費増税の3%分に当たるから如何に大きいか分かるはずである。
・    又、同じGDPでも人口で割り返した時にあたる一人当たりのGDPが比較されることこそが実質的な比較であると言わざるを得ないのも事実である。
・    13億人の中国人口と1.3億人の日本人口では10倍だから、GDPが同じなら、一人当たりの生産性へそのまま10倍の数字になる。
・    日本のGDPはアメリカの1/4:中国の1/2である。夫々の伸びが1%であったときでも金額ベースで同価格にするには日本の伸び率は夫々4%・2%の維持が必要である。この数字をクリアーするには中々ハードルは高すぎる。
・    要するに比較する時にはその基準をどこに置くかでまったく風景が変わってくる。

*    爆弾低気圧:数年に一回しかない暴風雪が12月の中旬目掛けてやってきた。
・    急激にて大陸からやって来た低気圧が発達して北海道では948hpという台風並みの強風になると言うので場所によっては小中学校は臨時休校である。
・    確かに両側田圃と言うバイパスでは地吹雪で障害物がなく数メートル先の車が見えない。
・    社内アナウンスでも終業と同時に帰宅するように促す。残業はしないで帰途についてくださいと私からのアナウンスにも力が入ってくる。
・    当然私も道路事情(?)をかんがみて早く帰ることとする。
・    玄関出ると凄い強風である。私も帰宅するに普段の3倍時間がかかった。
・    「3倍」である。
・    しかし、時間にすると15秒であった。普段なら5秒である。強風に思うように傘がさせずまごまごしているうちに15秒である。
・    会社の前に我家が有るから実際には通勤時間はなしであるが、それでも3倍と言う数字を出すと“おっ!と驚かれる。
・    こんなところに、倍率と実数との比較にトリックが生まれる。
・    数字を読むときに、その前に状況を読むことの大切さを確認させられた強風であった。

*    今年は総選挙の年でもあった。衆議院小選挙区の一票の格差について!
・    衆議院では1994年以降選挙区画定審議会を設置し差が2倍以上にならないことを目標にしているが、これは完璧には達成されていない。
・    毎度のことであるが、一票あたりの格差・一票当たりの価値が問われる。
・    2倍以内なら良いというトリックは致し方ないのだろうか?3倍では多すぎる。1.5倍では吸収できない。
・    一人当たりの人格は一人である。決して0.5人ではないはずである。
・    倍数トリックは自己麻痺トリックでもある。

*    本物の巣舞づくりの年に!
・    住宅着工数も乱気流である。
・    来る年こそ倍数トリックに踊らされるのではなく、経済政策に左右されない本物の巣舞づくりをしたいものである。