高田清太郎ブログ

夢はこころの居場所



エッセイ

5月下旬に小さなお客様が20名ほど会社に来ました。新潟大学付属長岡小学校の6年生です。
最初に代表の女の子が「今日は高田さんの夢についてお話をお聞きしたいと思います。」とご挨拶が
ありました。
①夢をどうしたらもつことができるか?
②夢の実現のためには何をどのようにしなければならないか?
③夢の実現を阻害するものが出てきたらどのように対処するか?
と質問の内容も順序のよいものでした。
ちなみに、夢について一人一人に聞いたら、「スタート」、「希望」、「努力すると報われるもの」、「実現不可能なもの」「ぐちゃぐちゃしたもの」・・・などなど。
しかし、いずれも未来に起こる事象であると言うことでは、皆共通に認識しました。
『夢』は私も好きな言葉の1つです。普段何気なくしている仕事も、夢と希望によって突き動かされているといっても過言ではないからです。
私は建築を通して様々な居場所づくりのお手伝いをさせていただいていますが、1番多いのが住まいです。
私は住まいを「巣舞」と呼んでいます。巣は目に見える形、舞は目には見えない想いと定義しているからです。
住まいづくりもまず想い(舞)ありき、我が家の舞(夢)によって住まいが形づくられているからです。
同年代の井上陽水の歌が好きです。「夢の中へ!」と言うタイトルの歌詞の中で、「探しものは何ですか?見つけにくいものですか?・・・まだまだ探す気ですか?」と言う一節があります。この詩はとても真髄をついていると思います。
「探し物は一体何なのか?あなたにとって大切なことなのか?本当の探し物はカバンや机の中にあるなんておかしい」とシニカルに詩にしているように思えるのです。むしろ探すこと自体が単なる人間の行動習性なのだと言っているかのようでもあります。
人類が何時も探していた究極の命題は『居場所探しの旅』ではなかっただろうか?――『居場所』――この響きがもつ言葉には何時も秘められた魅力と得体の知れない大きなエネルギーを覚えるのです。決して物理的空間ではなく、とてもメンタルな響きをもつ言葉でもあるからです。
そして「夢はこころの居場所」。 生きていく上でなくてはならない大切な心の拠り所。
空間は時間とともに変化して、流れと言う時空の中で生命は誕生して老いていく。
宇宙大河の流れの中・・・。
小さな旅人たちと話しているうちに、あらためて「私の夢」もまた大きく進化していきそうです。

(新潟大学教育人間科学部付属長岡小学校  『子どもと授業』2002.8 第49号掲載)