100選:2012年作品選集100選の審査が始まった。の日本建築学会賞作品は?
エッセイ
今年も様々なイベントや行事に追われていて何かと忙しい年である。7月は上半期が終わって下半期の初月でもある。今年の7月は例年よりも暑く感じているのは私だけではないと思う。
3.11大震災からおこった大津波!そして、原発事故により放射能漏れで日本中が不安と不信の中で迎えた夏!電力量不足で節電を余儀なくさせられた不満エネルギー(静かな)摩擦で一層暑さがつのる。
例年であれば、地球温暖化=CO2削減が話題の中心であったが3.11を境に風景が一変した。
暑いのは気候だけではない。建築界においても同様だ。建築作品評価がされる季節でもある。
昨年度と今年度の二年間は日本建築学会の建築活動審査部会で北陸支部の審査委員を仰せつかっている。
部会の仕事は主に3つの柱で構成されている。
① 日本建築学会作品選集100選支部選考会
② 日本建築学会設計競技支部会選考会
③ 日本建築学会北陸建築文化賞選考会
この夏に繰り広げられるのが①と②である。中でも①の作品選集100選支部選考会は実際に建築されている建築作品のコンペティッションである。出品作品はいずれも力作ぞろいであるだけに慎重な評価がなされることになる。
各審査委員の見方も様々な視点から論じられ大変勉強にもなる。やがて意見交換から白熱会議になる。これが面白い。提出された作品の価値を高めるためにも必要とされる白熱ディスカッションである。
全国9支部(北海道・東北・関東・東海・北陸・近畿・中国・四国・九州)から上がってきた推薦作品の中から100選を選び更にはその年の頂点である建築学会賞が決められるのであるからなおさらである。
私の所属する北陸支部は福井・石川・富山・長野・新潟の5県からなっている。夫々の県から各一名と部会長の計6名で選考するのである。
まず、作品とコンセプト・仕様等の書類選考が時間をかけてなされる。そして次には複数人で手分けして現地視察に出かける。提出図書だけでは確認できない現地・現物を見るのである。
支部の推薦作品を決めるのも容易でない。結構な時間も費やすが、エネルギーも費やす。
その後担当が決められ、推薦選評を書くのである。責任重大である。
②の設計競技は会員であればだれでも参加できるのであるが、さすがほとんど学生が主体のコンペになっている。今年の課題は「時を編む建築」であった。なかなか難しい課題でもあった。課題主旨は審査委員長でおられる建築家:槇文彦先生からであった。
こちらも選考委員の意見は分かれ白熱会議になった。
北陸支部は金沢市になるので審査は当然金沢市で行われる。片道3時間弱、往復6時間の電車はちょっとつらい部分もあるが、審査する力量が問われるとても充実した時間でもある。
益々、このコンペを通して日本の建築がレベルアップされ世界に発信されることを祈るものでもある。
弊社もこの刺激を社員スタッフにうまく伝えて設計の質をアップしたいと強く祈り、又、年度初めにおこなわれる社内コンペのフィーバーへと繋がってくれることを祈念するものである。
今回の作品は現在審査中であるのでお伝えは出来ないが、過去に審査に参加させていただき作品選集としてオープンされている関係建築をご紹介することとする。