高田清太郎ブログ

治山治水:太田川改修工事と摂田屋橋架け替え工事



エッセイ

治山治水は国家の礎!国家繁栄の基本中の基本!
今年の日本列島は災害続きである。東日本大震災は1000年の歴史にリコードを残す。
9月に12号・15号と二つの迷走・停滞・大型台風で日本列島は豪雨に見舞われ大きな被害を受けた。
テレビニュースは水害・地滑り現場の映像を繰り返し流している。痛々しい限りである。被災された皆様には衷心よりお見舞い申し上げ一日も早い復興を祈念するものである。
100万人の避難勧告・指示が出された名古屋市はその凄さを伝えている。かつての東海豪雨を経験しているからの発令である。市の人口が220万人ちょっとと言うから割合からも半数に及ぶ前代未聞の数であったと言う。しかし、実際には4~5000人の避難しかなかったと伝えている。反対にもし全員が退避したらどこに行くのだろうか?と言う疑問が残された避難勧告でもあった。避難劇が茶番劇でないことを期待したところでもある。
東京首都圏でも台風15号の直撃を受けた。大木が倒れ車の上にのしかかってきた。交通機関はマヒ状態であった。
豪雨は川の氾濫を引き起こし多くの民家を流した。あの大きく重い住宅が簡単に押し流される姿を見て建築業を生業としている私達には不思議な感覚でもあり責任も重いものがある。
建築基準法第二条1項によれば:「建築物とは土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
つまり、「地盤に定着しないものは建築物ではない?」流れてはもはや建築物の定義が届かない。建築物が建築物でなくなる定義を垣間見る不思議な瞬間である。
水嵩が増して土堤をオーバーフローすると水は一瞬にして低きに向かって流れる。そのスピードはとても速い。避難する時間を与えない。床下浸水に至っては数えるに暇がない。
更に降雨量が多くなると山が崩れる。所謂、土砂災害を引きおこし、多くの人命を一気に呑み込んでしまう。
新潟県三条市を流れる五十嵐川は7年前の7.13水害で大きな被害を出した。その後堤防を1m嵩上げしたおかげで今年の7.30豪雨から以前の二の舞を受けなくてすんだ。
備えあれば憂いなし!
なんでも人間万能主義で考えると「コンクリートから人へ!」というキャッチコピーももてはやされるが自然の破壊力は生半可ではない。人間が自然を制御するのではなく、自然が人間を制御している立場で考えることが至当であろう。
わが故郷・新潟県には日本一の信濃川が滔々と流れている。この水のおかげで越後平野は大穀倉地帯に発展したのである。豪雪も湧水となって夏の田圃を潤す。恵みの水であるが同時に災害の源にもなるのである。
政治力を使ってやるべきことの一つに治山治水がある。政治は国民の安全と安心を作り出す機能・使命を持つ!毎年水害で悩まされているのであれば川を制するものが天下を制すると言っていいかもしれない。
川の改修がわが摂田屋町でも急ピッチで行われている。太田川の改修である。施工方法は堆積した土砂を運び出し、川底を掘り下げ、また拡幅する。護岸補強するために石積みが施される。
両岸の改修が予定されていたが資金は東日本大震災の復興金にまわり、途中で予算見直し改修資金が左岸だけにしか回らなくなったと言う。
半分工事になったと言え大変大きな工事現場である。
建築現場では馴染んでいても土木現場にはかなり遠いような気がする私であるが現場監督と話すと工事内容が鮮やかに伝わってくる。工事内容は予算と工期でも変わる。元々太田川は長岡市のハザードマップには載っていない。
図面を見せてもらうと拡幅される川底幅は41m・川底深は6mに計画されている。運び出される堆積土は15000㎥だと聞いた。11tダンプは6㎥であるから2500台分の搬出にもなる。
工事中に豪雨に会うと折角の工事完了部分が再び被害にあう。一日も早い工事完了を願うものの一人である。
20年数年も前から川下から進められてきた太田川の改修工事が完了すると、それまでとはかなり違いグーンと安全になるのである。

川があれば橋が架けられる。:福島江に架かる摂田屋橋(新名称)架け替え工事が昨年から年をまたいで行われている。
川の改修で完了はしない。橋の改修も重要になってくる。両方とも移動するものを運ぶ機能を持つ。だから厄介なのである。
今までの交通を維持しながらの改修となると通行人には不便を強いることにもなるし、工事業者には余計に厄介ではあるが!しかも工期が多くかかる。
3.2mの橋が12mに拡幅されるのであるから今までの風景を変えてしまう。
年内完了をめざし工事は急ピッチで進められている。現在は工事半ばではあるが太田川改修工事と摂田屋橋の架け替え工事風景の一端を報告させていただいた。

川も橋も改修工事となる前提が広義の防災活動である。
改修工事をハードで整備することと、避難に対してはソフトで対応をしなければならない。
9月初旬に今年も摂田屋5丁目町内会では恒例の防災訓練が行われた。267名の住民と主催者役員を入れて合計300名弱の大部隊となった。
順序はこうだ。避難勧告が長岡市役所から町内会長に届く。町内会長から班長に伝言が届く。次に班長は班の皆様に伝達!そして、班単位で集まる場所を決めておき、時間を決めて避難場所(訓練では今年も公民館横の駐車場)に移動する。
場所は公民館の脇の駐車場をお借りしての避難訓練である。
各自の持ち物は茶碗とお箸である。班長は子供会・老人会と一緒になってテントを張り、発電機の確認である。そして、非常食の準備である。
たった三時間の訓練であるが、毎年やるとやらないとでは雲泥の差が出るのである。多くの命を救った避難は避難訓練の賜物だと報告が届く。
今年の様に災害続きだと慢性化しそうであるが命を守る防災訓練は常にフレッシュでありたいものである!

   橋から太田川の上流を眺む!       橋から下流の工事現場を眺む!      川底は堤防から6mの高さ!
  左岸は石で護岸工事が進む  工事中に豪雨があった。護岸工事前はかなり弱いことを実証している。
  
2年に渡っての工事になったのは福島江は農業用水とJRの線路の融雪水として使用されるから期間は秋に限定される!

   福島江に架け替えられる摂田屋橋工事現場:まず川の水を堰き止めてから川底の基礎工事に取り掛かっている!