高田清太郎ブログ

警報発令!一般木造屋根は雪下ろししてください!屋根雪荷重と建築の安全性の検証 雪下ろし依頼が250軒を超えようとしている勢いだ!



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* 大雪の年になった。インフルエンザが猛威を振るっている。健康管理をしながら私たちの日々の職分を確りと追行して行きたいものである。
二月も中旬に差し掛かったというのに寒波が第二波・第三波と波状攻撃をかけてやってくる。波状型だから時々息を継ぎながらの降雪である。何気なくしている内に屋根雪が積もってしまっていると言ったところでもある。時々見せる太陽と雨で屋根雪の嵩がグーンと減る事で勘違いを興しがちな時期でもある。問題は積雪深ではなく積雪荷重であるからだ。
新雪は嵩が多くても比重が非常に軽く心配はいらないが、雨や太陽で溶かされたザラメ雪は大変重くなっている。一番下層部は氷の世界である。スコップも歯が立たない。
会社には屋根雪下しの件で問い合わせが多くやって来る。「我が家の屋根はいつごろ雪下ろししなければならないのだろうか?」「その場合は高田さんに雪下ろしをお願いしたいのだが。」
弊社の雪下ろし手配担当者はてんてこ舞いである。昨年は140軒だったのが、今冬は昨日までで200軒を超えた築縁様からの依頼であった。
屋根雪を下ろす時期については正に個別である。基本的には雪の量は地域によって大きく変わるからだ。出来れば現地主義にて夫々の雪荷重を測定する必要がある。
2月10日に今年第二回目の屋根雪荷重の測定結果について検証してみたいと思う。

* 今冬:第二回目の屋根雪荷重を測定!その経緯と今後の注意点について報告(または警告)
測定場所:サポートセンター摂田屋の屋根雪(リプチの森敷地内:長岡市摂田屋5丁目地内)
日時:2012・02・10/13:00~15:00
内容は添付資料の様になったが少々コメントを加えさせて頂くと、
積雪荷重は1㎡当たり520kgになった。
全体比重は平均して0.297となり限りなく0.3に近づいてきた事になる。(比重0.3は建築基準法で決めている多雪地域の比重係数でもある。パウダースノウの地域の比重は0.2であるから、よほどの重さである。しかし、その荷重に近づいた。)
一番下層部75cmの比重は0.47となり0.5に近づいている。もはや水の重さの半分である。
一般的に木造屋根の標準雪荷重は1.5mとして考えられている。すると1.5mX比重0. 3=0.45t=450kgで計算していることになる。すると計測雪荷重は設計荷重をオーバーしまったこととなる。
至急にこの地域の皆様は屋根雪を下ろすように!雪下ろし警報である!
勿論、積雪荷重2m~2.5m(夫々600kg~750kg/㎡で設計)にて耐雪設計で依頼されている建築主様は大丈夫であるが、更に寒波が襲ってきたら雪下ろしが必要である。タイムリミットが近づいてきたのである。
更に実際の応力計算をする際には0.7掛けになって軽減されているので2m~2.5m設計でも420kg~525kgと言うことになっているから気を着けたいところである。
それでも鉛直荷重だけならまだしも、もし水平力が働いたらと考えると気が気でない。水平力の代表が地震である。
大雪の時期に地震が重ならないように何時も願っているが、先日は佐渡で震度5強を観測してしまった。
雪国の住宅にとって一番怖いのが冬期間に発生する地震である。屋根雪が多くなればなるほど危険である。(水平力でも風荷重に対しては反対に抵抗力を増し安定するが!)
単純に地震力は全荷重の0.2~0.3の係数で横力を発生させるのであるからこの時の雪荷重はバカにできない。
耐雪住宅でも豪雪年は雪下ろしを覚悟しなければならないことになる。
それに引き替え、敷地に余裕があり堆雪スペースが確保できれば自然落雪型屋根にしたいところである。下す心配はいらないし地震に対してもとても安心できるからである。
   自然落雪屋根は頭上注意!    知らせる看板に落雪!

* 2m耐雪でないお宅でも未だに一度も雪下ろしをしていないケースを見受ける。
こちらから下した方がいいですよと進言しても、もう少し待とう!そのような場合は自己責任で致し方ないことであるが間違った情報が流れていくのが怖いところでもある。
実際に1.5mの雪荷重の一般建築であるにかかわらず、高田建築事務所の家は強いからと2mになっても雪下ろしをしないでいいと誤解されているとうわさが耳に飛び込んできた。確かに構造材に関しては他社と比較しても遜色が無いように部材を大きく設定しているところであるが設定された積雪荷重を無視しての誤発信は困ったことである。
自然力には謙虚な姿勢が大切である。建築をやっていて何時も聞こえてくるエンジェルスマイルでもある。
屋根雪荷重は設計依頼時に設定するから一軒一軒違ってくる。RC造やS造の時は積雪表示板を建物に表示しなければならないが、木造も自主的にすることで巣舞人さまは安心することが出来る。是非とも実践したいところである。

*高田建築事務所の耐雪住宅への挑戦の歴史!木造で2m~2.5m耐雪構造をやじろべえ住宅と命名!
弊社の耐雪住宅への挑戦は1987年に第一号やじろべえ住宅発表からであるから25年の歳月が経ったことになる。当時は耐雪型と言えばRC(鉄筋コンクリート)造かS(鉄骨)造と考えられた時代であった。木造で耐雪型構造型住宅を世に問うて四半世紀になったことになる。1981年のゴーロク豪雪(昭和56年)で俄かに高まったニーズに開発を急いだ結果であった。部材の応力計算は当然であるが、特に長期間にわたって載雪するのであるから部材間のめり込みの実態について頭を悩ました。材質によってどのくらいのめり込みが起こるか?その実態の報告がなかったことであった。さまざまな大学機関(新潟大学・日本大学・東京大学などなど)を周ったがそのデーターがない。その後長岡科学技術大学の機械工学科の武藤研究室で実際の荷重をかけてクリープ(疲労)試験データーを得ることができた。かなりの時間がかかった。今・・・・振り返っただけで当時の熱血を思い出す。

* 参考までに、雪が載った場合と載ってない場合の地震時の力のかかり方の違いを検証してみると!
EX:屋根雪面積30坪(約100㎡)に2m積雪が載った場合は雪の総荷重はどの位になっているのだろうか?答えは60トンである。凄い重さである。白いから軽く見られている。もし雪が黒かったらちょっとでも降れば雪下ろしをしたに違いない。
また、その時に地震がやってきたとしたらどのくらいの外力が加わることになるのだろうか?屋根に雪がない時と2m積雪の時にやってきた地震時の横力はどのくらい違うか?応えは雪比重を0.3として2mは600kg×100㎡×0.2(~0.3)=12t(~18t)になる。

* 今後の課題:
屋根に載って一々確かめるのではなく自動計測できるようにするか?簡単に計測できる仕組みを作りたいところである。
同時に築縁様に情報適用することが重要であることを教えてくれた雪でもあった。
  リプチ通りから望むサポートセンター摂田屋 人ほどの高さになった屋根雪の測定開始
        計測開始!25㎝真四角に切り取る型取りから始まる。原始的といえば原始的!ファジーと言えばファジー!

* 参考資料①から
1月28日時点では125cmであった。1㎡当たりの荷重は約300kg
2月10日時点では165cmであった。1㎡当たりの荷重は約520kgであった。
積雪高さは40cmプラスだったのに荷重は220kgも増えた。この部分だけを考えると1mあたりに換算してみると550kgである。     比重は0.55と言うことになる。
これは、太陽が出たり雨が降ったりで雪嵩が極端に逓減しているが比重はその分大きくなっていることを如実に示していた。

参考資料①

* そんな大雪の中で2月6日の月曜日には宮内商店街に街角キャンドルが映えた。昨年の10月には上組小学校の6年生の児童がまちかど美術館と称して自分たちの作った作品を宮内駅から宮内商店街の雁木空間にて展示して町に賑わいをもたらすことが出来た。今回はその第二弾であった。
丁度その日は天候に恵まれた、昼には太陽さえ出ていた。大雪の中だるみであったから余計にゆったりした気分でキャンドルを見ることが出来た。
同時並行して秋山孝ポスター美術館長岡(APM)では6年生が演奏するカーペンターズの曲を聴くことが出来た。
それに先立つこと宮内駅では絆プロジェクトが開催されていた。階段をキャンバスにするのは危険だと言うことで1時間限定のギャラリーであった。一瞬の華やかさだけに光度は抜群であった。
雪国には雪国の楽しみがある。

   APMはまちなかキャンドルの拠点でもある。   豪雪に宿った雪虫たちは通り行き交う人々を癒してくれる

   小さな想いが想いとなって大きな絆を育んでくれた!                まるで最後の晩さんの絵のようだ!

   
この会の指揮者:長谷川先生の来場  本田さんご夫妻のオリジナルソング:協奏する平沢君ギター!新聞記事「絆」