高田清太郎ブログ

永田昌民先生のご冥福を祈ります!



エッセイ

すまいは巣舞
巣は形・舞は想い
想いを形に
巣舞るフォー・ユー
高田建築事務所

*    永田先生とのお付き合いはOMソーラー協会に弊社が加入してからであるからあれこれ20年ということになる。
・    その後、OMソーラーの特許も切れてオープンになったことを契機に退会し、永田先生の提唱する、ソーラーれんでもお付き合いさせて頂いていた。
・    弊社常設展示場である“リプチの森のたまご”には、ソーラーれんが太陽光発電パネルと一緒に搭載されている。
・    OMソーラーは奥村昭雄先生の開発されたシステムであり太陽熱を屋根パネルから採取し下がりダクトを使用して床下に落としこみ緩やかな温風を床下から放射させるものである。一般住宅から一般建築まで広く使用されていた。
・    現在叫ばれている再生可能のエネルギー源の先駆けでもある。
・    雪国では難しいといわれていながら新潟県からは弊社が初めての参加であった。
・    旧知の仲であり畏兄と仰ぐ小池一三氏からの説得で加入したのである。
・    確かに、極寒の根室でも太陽さえ出れば効果はとても発揮される事例は沢山見ることが出来た。しかし、曇り空の新潟では?一瞬ためらうが挑戦せずの頭でっかちを嫌う私の決断は早かった。
・    爾来:永田先生とは年に少なくとも一回の総会毎にお会いする先生であった。日本海大会は新潟で開催された。
・    会の終了日には奥村先生も来社してくださり当社の取り組みにも耳を貸してくださりご指導いただいたのがついこの間のようである。
・    その奥村先生が昨年12月に他界された。記念会も目白の明日館(フランクロイド設計)で開催されたばかりである。
・    奥村先生の高弟に永田先生がおいでであった。
・    今年12月14日早朝に他界された。
・    小池さんからのメールでお知らせ頂き、電話で委細を確認することができた。
・    長い間持病との闘いを強いられていたと言う。
・    先生の住宅作品はとても品格があり、先生の優しさがにじみ出ている。
・    内覧会のご案内を頂いた時は雑誌で見る知識ではなく空間に入り込む体験はとても重要である。いくつか体験させていただいたのは貴重な財産でもある。

*    永田先生からは出前授業をしていただいた。
・    弊社の一努会(一年に3回開催している社内啓蒙活動のひとつ)にて先生の作品を通して先生の思想・建築哲学のご講演を頂いた。
・    新潟県新発田市の住宅設計を手がけられていた時に弊社に施工依頼を頂いた。規模は大きくないが増築計画であった。
・    先生がクライアントと打ち合わせする席に同席させて頂くチャンスを頂いたことも今では宝物となった。
・    先生はクライアントの言葉に確りと耳を傾けて巣舞づくりをされていく。あたりまえといえばあたり前であるが。作風を通そうとする建築家とは一味もふた味も違う様に思えた。
・    そして何よりも現在の生活の採寸を克明に聞き届けられていた。「設計は生活の継続である」ことを無言のうちに教えていただいたように思う。
・    新潟駅では新幹線の時間まで何度か一緒に飲ませていただいたお酒の美味さは格別であった。30分待ちをはるかに超えて2時間以上も花を咲かせていただいた。
・    完成してお祝いの席にクライアントはおられなかった。持病との闘いを終えようとしていられたからである。

*    永田先生と初めてお会いしたのが確か、東京での会だった。入会したばかりの会であったと記憶しているが定かでないが300名以上と大勢の参加者であったとおもう。
・    協会からの報告が終わり、懇親会に入る前の時であった。丁度エレベーターに乗り込んだ時に先生が先に乗っておられた、全国から会員が来ていた。思わず、私は新潟から来ましたがどちらからおいでですか?と質問したのである。
・    すると、「ナガタです」と言われ「アッ」と絶句。
・    先生の事務所もお伺いしたのがついこの間のような気がする。

*    永田昌民先生のご冥福を祈ります。
・    先生の残された作品は今後とも多くの人々に巣舞づくり原点を教え続けていくことでしょう。