高田清太郎ブログ

Before Covid19



エッセイ

新型コロナヴイルスの第5波が収束してきた。

緊急事態宣言も11か月ぶりに解除された。とは言っても繰り返し襲ってきた経験からは次の第6波を警戒しながらの解除でもあった。

数年前からパンデミック警報が予知されており、アナウンスされていたにもかかわらず私たちの反応は何と鈍感だったことか? 後に思い知ることとなった。いや、たとえ敏感だったとしても一般人にとっては、なす術を知らなかったと言ったほうがよいだろう。

 

今回のパンデミックでコロナ禍収束後(アフターコロナ)の社会活動風景はかなり変わるだろう。と多くの人は指摘している。With Corona・After Coronaである。

 

しかし、建築屋の私たちがコロナ対策(感染症対策)として普段から取り組んでいるものは、果たしてあったのだろうか? と自問し振り返る良いチャンスでもあった。Before Coronaである。

 

(私たちがすでにコロナのやってくる前から、仕事上対応していたことを確認することが出来たのも収穫であった。)

 

 

● 確かに新型であるコロナ禍対策・対処すべく言葉がたくさん生まれた。

・3密

・巣ごもり

・ディスタンス

は誰もが聞きなれた代表的な言葉である。

 

● そして、弊社の建築コンセプトとしてもともと持っていたテーマとして

・快適な居場所づくり

・巣舞づくり

・間知づくり

がある。

 

丁度、①快適な居場所づくり:「力の大きさと方向で決まるベクトルでなぞらえられることがある。もともと過密は不快空間を作る。それはちょうどコロナ禍では人流を避け「3密」を避けることと同期する。

 

また、②巣舞づくり:巣は形・舞は想い!想いが形を作る。人流を避け「巣ごもり」は接触頻度を避けることでもある。Zoom社会到来に一気呵成した感を拭えない。

 

更に、③間知づくり:まちづくりは当社では「間を知る」と書く。このことはまさしく「ディスタンス」である。

 

事例を紹介しよう

● Sさまの巣舞づくりコンセプトは「ファサモンド」であった。

・外観デザイン(ファサード)を大変気にされていたことを思いだす。シンプルの中に斬新なデザインを求められていた。モンドリアングリッドを提案させて頂いたことから「ファサ・モンド」とネーミングされた。

・建築が完成して暫く住まわれてからしてから届いたアンケートにとても気になるコメントがあった。

・私たち家族は今まで定期的に旅行していましたが、このファサ・モンドが完成してからは何処にも行きたくなくなった!と。我が家が一番居心地がいい!

・まさに巣ごもりを予知しての千人鮮色の巣舞づくりであった。といっても過言ではあるまい。

 

● サポートセンター摂田屋:リプチの森の住宅街に生まれた複合型介護施設である。

・コロナで一番困った問題は介護施設に入所した家族と面会が謝絶されたことである。もっとも老人施設から感染者が出たらクラスターになりやすく、その被害は大きくなるからである。

・会えないままで家族とお別れされた事例は大変多くさぞ無念のことであった。

・サポートセンター摂田屋は入り口が複数用意されているのが特徴でもある。

・メインエントランス・サブエントランス・個室エントランス・地域交流用エントランスと。必要に応じて使用されるエントランスである。

・今回のコロナ禍で本領発揮してくれた。ビフォーコロナの好事例である。

・一般的に使用されるメインエントランスはコロナ禍では閉鎖されたような状態となった。個室への通路は絶たれたことになる。

・しかし、当サポートセンターでは20床の特養個室には出入り口がありベランダとつながっている。家族との面接は窓越しではあるが可能となったのであった。(Before Corona対策)

・また、もし感染者が発生した時の対応を考えたときに東西棟のサブエントランスが本領発揮してくれるように思える。感染者・非感染者の区分けがとりやすくなるからである。

・私たちはコロナ禍の前から対応策を考えていたことになる。

   

 

 

● リプチの森のまちづくり:長岡市摂田屋5丁目地内にあった長岡自動車学校の跡地を利用して15年前に計画分譲された住宅地である。

・カーブされた道をつくることで建築群は角度を振りながら配置されることになり街並みは陳腐になりがちな景観から救われることになった。視覚的ディスタンスの確保でもある。