スタッフブログ

建築現場のDX化



住まいづくり
現場

最近ニュースなどで “DX”  (デジタルトランスフォーメーション) なる言葉をよく耳にしませんか?
これは今まで多くの手間と時間がかかっていた仕事や社会の仕組みを、最新のデジタル技術を活用して大幅に効率化する取り組みのことです。建築の世界でも昨今とても注目されているキーワードです。
高田建築事務所で現在取り組んでいるDXの一つが、いつでもどこでも関係者全員による “現場の見える化” です。
現場監督や設計者は限られた時間の中で現地確認をして、その中で作業をされる職人さんとのコミュニケーションを取っています。建物づくりで最も重要なそのやり取りをするために、長い時間を使ってクルマで移動したり、対話する方とのタイミングを調整するなど、多くの労力を払っています。
これをどんな場所にいても、どんなタイミングでも、最新の現場の状況をより多くの関係者が同時に把握して、より正確な指示や対処を行うための工夫として、高田建築事務所ではLogwalk (ログウォーク) というDX技術を使い始めています。

Logwalk設計チェック中

これで使うのは専用のアプリをインストールしたスマホと360度カメラ(リコー社製シータ)です。

シータカメラとLogbuildアプリ

以下のリンクを見ていただけますでしょうか。これは新潟営業所のホールをLogwalkで撮影したものです。
リンク➡新潟営業所 1階ホール
新潟営業所VR画像

スマホだけで通常の写真を送ることはできますが、このカメラで撮ることによって左右だけでなく上下に至ってもすべて実際にそこにいるかの様に確認することができます。拡大縮小も自由自在に行えます。
この360度写真を現場では大工さんや職人さんが、各部屋(広さによっては複数の個所や外部など)を毎週定期的に撮影してもらい、現場担当個人宛てににメールするのではなく、専用のサーバーにアップロードしてもらっています。(最新の画像がアップロードされると関係者に通知が届きます)
このサーバーにはPCだけでなくスマホやタブレットなどからもアクセスすることが可能です(ただし現場ごとに権限を与えられた担当者や協力業者のみがアクセスできる仕組みになっています)
現場監督や設計担当は事務所に居ながらにして、各自の自由なタイミングで定期的にこれを確認して、現場の進捗や図面通りの施工であるかどうか、問題点が無いかなどを確認していきます。

サーバーでは最新の画像だけでなく、着工時から時系列で過去の状態もすべて確認することができます。(閉じて見えなくなる壁や天井の中の状態も時間を戻して見てみたり、問題のある施工がどの段階でどういった原因で行われたのかなどの確認もできます)
また管理する側が指示をしたいところや職人側が確認したいところには、このVR空間に付箋をつけて簡単なコメントや図面/画像などを張り付けることもできます。

新潟営業所VR画像に付箋

職人さんというと「昔気質で保守的」なイメージが一般には多いかもしれませんが、その実、社会や業界の変化に対して柔軟に対応してきた方たちが多いということはあまり知られていない様に思います。
実際に知的好奇心が強い方が多く、準備を進めたわたくしたちには想像もできなかった活用方法で、今まではできなかったコミュニケーション方法を試したり、省力化を工夫される職人さんも多くいます。

わずか数分で済む確認を現場に行かずとも、より手軽なものとして(逆にきめ細かく)行えて、より重要で難易度の高い管理事項だけに現地確認の時間を集中させることができています。
省力化というと手間が減る部分がより多く注目されますが、この取り組みによって高田建築事務所の住まいの施工品質を上げることもできればと考えています。

新潟営業所 積算 佐々木

【参考動画】
建設業界「2024年問題」の救世主となるか リモートで現場監督